去年の秋に 実家から棚を持ってきた
それまでそこには使っていない小さな冷蔵庫が在り
実家に引き取られて行ったので、実家からその棚を持って来た
それは何年か前のアトリエの頃、友人宅から譲り受けたなんでもない白い棚で
実家では機能していないその棚を今ここに持ってくると
冷蔵庫の隣でちょうどいい高さに陽が当たり
思いがけなくアトリエに来たばかりの
鉢植えの植物によく陽が当たる
と想像できたので

白い棚を持って来て置いた
その上に植物をのせてみる
想像の通りぴったりだった
空間がピシっと決まる
なんて気持ちのよい美しい瞬間だろう

しかしその棚に入れるべきものが何もなかった
所持品の少ないわたしは部屋に既にある収納へ物をしまっても
各収納先は「まだまだ空いてるよ」と言ってくるくらいの空きようだった

おふろの前に置かれた棚は何も入れられないままそこに在ることになった
ある時おふろから出たときの着替えとタオルを置いておふろに入った
そしておふろから出てタオルと着替えを取る…ぴったりである
ちょうど銭湯の籠やロッカーのようなぐあいで
そう、今ちょっと置きたいものがある
でもずっとは置かないよ
そういう棚

その「いつも空いているなんでもない棚」のおかげで
クローゼット→おふろ→洗濯機の導線がものすごくよくなった
自分でも気づかない、知らず知らずのうちにあった小さなストレスが消えた

逃げるように引っ越してきていつまでも仮住まいのような気持ちで暮らしていたここで
こうやってすこしずつでもパズルのピースを合わせるくらいの気持ちに、やっとなってきたのだった

鉢植えの植物はとても健やかな様子で居る
そのことを思い、すこし動くだけで
他の事も思いがけなく収まった

そうでいよう、と思った
何も入れる宛てのない棚を
そんな理由で置くようなことに
何もいとわずやる自分でいよう、と
Posted on2018.3.03 Edit on カテゴリー: