
数日前、おふろで倒れた
1時間ほど倒れ凍えながら、
何年も前、実家のおふろで倒れて、
ドア1枚向こうに父と母がいるのだけれど、
床をバンバン叩いても、テレビの音で気づいてくれなくて、
真冬の寒い脱衣所で1時間ほど倒れたまま冷たくなっているのを発見され、
「まあ」と驚かれ心配されながらバスタオルでくるまれたのを思い出していた
ずるずるとありったけのタオルを巻いてベッドに倒れ込み気を失い、
数時間後目が覚めて濡れたタオルを剥がしながらずるずると這って洗面で鏡を見ると
頭蓋骨の形がわかるくらい目がくぼんだ自分の顔が、死の1年半ほど前から激痩せした母の顔そのものだった
「ああ、数日前の夢で『お母さんと呑みたいな、どう?』『いいよ!』と言ったのはこれか、
こうやって母と会うのか」とわかった
私だけが、こうやって 会える
会えてしまう
朦朧としながら病院へ行き、
「入院しますか?」と言われたような
点滴をして、車椅子で運ばれながら検査をし、
しばらくして「癌とかではなかったですよ。ストレスからのものかと」と
お医者さんが言ったような気がするけれど、朦朧としていて覚えていないような
ふらふらで帰ってからずっと寝ている
近所のスーパーへ行くのも登山のよう
鏡にはあの心細そうな頃の母が映る
彼女がどれだけ心の中が傷ついていたのか
実感として身となってわかる今この状態になって